前回はバイオマスエネルギーについて解説していきました。
バイオマスエネルギーには、木質バイオマス・バイオエタノール・バイオガス・バイオディーゼルがあり、それぞれ原料や製造方法、利用先が異なります。
今回はその中でもバイオディーゼル燃料に焦点を当てて解説していきます。
バイオディーゼル燃料の製造について
バイオディーゼル燃料とは、菜種油やオリーブオイル、使用済み食用油を原料としたものです。これらの油は、エステル交換反応を経てバイオディーゼル燃料に変換されます。これは、廃食用油にメタノールを反応させることで、廃食用油の主成分であるトリグリセリドが低分子化され、粘度の低い脂肪酸メチルエステル(FAME)へと変換、副産物としてグリセリンが生成されます。
粗製した脂肪酸メチルエステル(FAME)には不純物が残留しているため、温水で洗浄後、洗浄で用いた水分を除去し、フィルターでろ過をして燃料となります。
バイオディーゼル燃料の使い道
バイオディーゼル燃料はディーゼル車の燃料として、軽油の代わりに使用することができます。
また、バイオディーゼル燃料を燃焼させて電力を発生させるバイオディーゼル発電もあります。
バイオディーゼル燃料を燃焼させても二酸化炭素は発生しますが、植物はその二酸化炭素を吸収して成長しバイオマスを再生産します。そのため、全体としてみれば大気中の二酸化炭素が増加することはないという「カーボンニュートラル」が成り立っています。
軽油と比較しても、硫黄酸化物(SOx)の排出を約半分に抑える事ができるため排気ガス対策としても優秀です。
化学的手法を使わないバイオディーゼル燃料の製造とは?
先ほどエステル交換反応を経たバイオディーゼル燃料の製造について簡単に説明しましたが、メタノールを使わず水のみで製造する方法があるのはご存じですか?
名古屋市西区に本社を置くナガイホールディングス株式会社のグループ会社である株式会社リプロでは、廃食用油と水のみでバイオディーゼル燃料の製造を行っています。
株式会社リプロでは、油を原料として沈殿、ろ過、加熱及び水混合という物理的手法のみが用いられています。
燃焼させた際には、含まれている水の気化熱により温度が下がることで酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOx)が減少するとともに、燃料噴射時には空気導入量が増加することで燃焼が改善されるので黒煙(Soot)が減少する効果もあります。
メタノールを使用する製造方法に比べ、製造に係るエネルギーやコストが抑えられるうえに不要な副産物も生成されないため、低コストで省エネルギーな上に環境に優しい製造方法となっています。
(特許出願済み)
名古屋市近郊での廃食油の回収依頼、ご相談はコチラ https://repro.nagaiholdings.jp/
まとめ
今回はバイオディーゼル燃料に焦点を当てて解説していきました。
バイオ燃料というものはバイオディーゼル燃料以外にも、バイオエタノール、バイオジェットなどがあります。
バイオ燃料は化学燃料に代わる燃料として注目されている一方、課題も存在しています。
よく聞くのが、食料として使えるものを燃料にしていいのかという疑問です。確かに、世界には飢餓に苦しむ人々が多く存在しています。
しかし、バイオ燃料の製造や販売によって雇用が生まれ、収入を得ている人たちもいます。
バイオ燃料は環境に優しいだけでなく、貧困や技術革新にも貢献できる可能性があります。
「食料」と「燃料」のどちらかを選ぶのではなく、どちらも選べるようになっていくことを願っています。