2023.08.18

プラスチック問題とその影響について vol.6 ~名古屋市の現状と課題~

藤前干潟とは

藤前干潟は、名古屋港に流入する庄内川、新川、日光川の河口部に広がる約300haの干潟です。国内有数の渡り鳥の中継地で、毎年数多くの水鳥が飛来します。シベリアなど北半球の繁殖地とオセアニアなど南半球の越冬地を往復しているシギやチドリの大切な中継地となっています。

 

藤前干潟のプラスチックごみ

平成14年11月、ラムサール条約に登録された藤前干潟は、渡り鳥の飛来地として知られる名古屋市に残る貴重な自然の一つであり、干潟の保全は生物多様性を守るために非常に重要なテーマです。また、この藤前干潟は過去に市のごみ処分場として埋め立て計画があった場所で、市民の活動により残すことができた名古屋市の環境行政の原点ともいえる場所です。この藤前干潟においてプラスチックごみの調査を実施しました。

藤前干潟の沿岸を歩いてみると、大量のペットボトルやお菓子の袋などのプラスチックが流れ着いています。また、足元をじっくり見てみると、流木の下には植物の種のようなマイクロプラスチックがびっしり溜まっています。犯罪であるポイ捨てだけでなく、意図せず飛散したプラスチックが風で飛ばされ、川を流れ、このように海に行き着いています。

藤前干潟では定期的に地域のボランティアの皆さんによる清掃活動が行われています。いったん海に出てしまったものをすべて回収することはほぼ不可能であり、このような清掃活動は海への流出を防止する重要な行動ですが、どれだけごみを拾っても無限に流れ着き、毎回多くのごみが回収されています。

 

藤前干潟沿岸の様子

岩場にはペットボトルなどの多くのプラスチックごみが漂着しています。

ペットボトルや袋などの軽いものは意図せず風などで飛んでいってしまうこともあり、発生を元から断たなければ流出する量は無視できないものになります。

出典:名古屋市プラスチック削減指針

 

藤前干潟クリーン大作戦は、1人の市民の清掃活動から始まりました。

平成16年より毎年5月と10月を中心に、市民・企業・行政の協力によって藤前干潟周辺で大規模な清掃活動を行っています。

清掃活動語後には、毎回多くのごみが回収されます。

プラスチックは汚れて劣化も進んでおり、リサイクルは難しそうです。

出典:名古屋市プラスチック削減指針

 

足元を見ると、一見土ばかりのようにも見えますが、非常に小さな色とりどりのプラスチック片や発泡スチロール片がびっしりあります。(5㎜以下のプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれます)

こうなるともう清掃活動をしても回収することは困難です。

出典:名古屋市プラスチック削減指針

 

次回へ続く

 

vol.7では漂着ごみ・マイクロプラスチックの調査結果を取り上げます。

 

引用元:名古屋市プラスチック削減方針~そのプラスチックは必要ですか?~

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