プラスチック問題
プラスチックの原料は、ナフサと呼ばれる石油から作られる物質です。
初めてプラスチックが作られたのは1907年とされています。そこからわずか100年ほどで私たちの生活になくてはならない存在となりました。
プラスチックは科学的に安定した材料のため、自然界で分解されにくい性質を持ちます。
不法投棄やポイ捨てなどのほか、風で飛ばされたり災害などの意図せぬ流出により河川等を通じて海にたどり着き、生き物に様々な影響を及ぼしています。
また、燃やされるときには温室効果ガスが発生し、地球温暖化の原因の一つにもなっています。
今回のコラムでは海まで流出したプラスチックによる海洋汚染の問題を取り上げます。
生物への影響
今注目を集めている海洋汚染の問題は世界中で大きく取り上げられており、プラスチック製ストローが鼻孔に刺さったウミガメや、プラスチック製漁綱に絡まった海鳥の映像などを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
海に流出したプラスチックは、生き物に刺さったり絡まったりするほか、生き物が誤って食べてしまいおなかの中で消化されずに溜まって物が食べられなくなってしまうなどの直接
的な被害を引き起こしています。
【アオウミガメが排せつしたプラスチックごみ】引用:産経WEST 2021/7/15
こちらの写真は高知県土佐清水市沖の定置網に迷い込み、保護されたアオウミガメが移送先の海遊館(大阪市)で、一ヶ月以上にわたって排せつし続けたプラスチックごみです。
レジ袋を好物のクラゲと間違って食べてしまったと考えられます。
マイクロプラスチック
海洋を漂ううちに紫外線等により劣化し細かく砕けた5㎜以下のプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、世界中の海で確認されています。
すでに小魚の胃の中でも発見されており、食物連鎖により大きな魚に生物濃縮され、やがては私たちもその魚を口にすることになります。
プラスチックは製造過程で用途によってさまざまな化学物質が添加されています。マイクロプラスチックは化学物質を吸着しやすい性質があるため、海に流れ出た排水に含まれる有害な化学物質を吸収していると言われています。
こうしたマイクロプラスチックを食べた生き物に有害物質が蓄積されるといった影響が懸念されており、私たちは気づかぬうちに海洋汚染による影響を受けている可能性があります。
海洋プラスチックの量
現在、世界全体で少なくとも年間800万~1,300万トンものプラスチックが海洋へ流出していると推計されています。
このままでは2050年までに魚の重量を上回る量のプラスチックが海洋に存在することになると予測されています。
出典:ELLEN MACARTTHUR FOUNDATION. THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICSより改変
そのため2050年までに、海洋プラスチックによる新たな汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が令和元年にG20大阪サミットで共有され、全国で取り組みが進められています。
日本でも全国一律でレジ袋を有料化する制度が始まりましたが、使い捨てプラスチックの製造・販売を法律で禁止する国も出てきています。
vol.2では大量生産・大量消費・大量廃棄による資源枯渇の問題を取り上げます。