大量生産・大量消費・大量廃棄による資源枯渇の問題
資源を大切にしましょう―――昔から言われてきたこの言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
オイルショック直後の1980年ごろには、「石油はあと30年程度で掘りつくされてしまう」といった試算であったものが、採掘技術の発展などにより現在でも石油を利用来ており、こういった危機感は薄れてきているのかもしれません。
しかし、石油はこの地球上に恐竜がいたころ、2億年から6千万年前の生物の死骸からできたと言われており、すぐには生まれない「枯渇する」類のものであることに変わりはありません。
プラスチックは主に石油を原料として製造されています。プラスチックを大量に生産・
消費・廃棄することは、いつかは枯渇してしまう石油を大量に使い捨てていることに他なりません。
資源枯渇の問題を考える上では、まず可能な限り使用量を減らすことが重要ですが、どうしても必要なものについてはリサイクルの取り組みも重要です。
リサイクルの種類
日本における廃プラスチックのリサイクル率はおよそ24%でマテリアル・ケミカル・サーマルリサイクルといった手法で再生利用されています。
マテリアルリサイクル
廃棄物を新たな製品の原料として再利用するリサイクル方法です。
マテリアルは英語で「物」という意味で、文字通り物から物へとリサイクルすることを指します。同じ製品にリサイクルされることもあれば、異なる製品にリサイクルされることがあります。
ケミカルリサイクル
廃棄物を化学合成によりほかの物質に変え、その物質を原料にして新たな製品を作るリサイクル方法です。
具体的な例として、廃プラスチックを溶かして水素や二酸化炭素などの合成ガスを生み出し、水素をアンモニアの製造に再利用したり、二酸化炭素から炭酸ガスやドライアイスを作り出したりすることが挙げられます。
サーマルリサイクル
廃棄物を燃やすときに発生する「熱エネルギー」を回収して利用するリサイクル方法です。サーマルリサイクルで回収した熱は、温水プールや発電に使われます。
現状
現在はリサイクルが困難な汚れたプラスチックなどについては、焼却する際の熱を利用して発電する(熱回収)などプラスチックの持つエネルギーを可能な限り活用しており、リサイクルと合わせた廃プラスチック全体の有効利用率は86%です。
86%も利用されていれば大丈夫と思うかもしれません。しかし、有効利用の大半(約7割)を占める熱回収では一度きりの利用となり、何度も利用することはできません。リサイクルの場合は資源を循環させることができますが、その一部はどうしても利用できない残さとなってしまいます。
リサイクルにおいては残さとなるものを可能な限り減らし、熱回収においてもエネルギー効率を上げることで、より環境負荷を抑えられますが、それらはあくまでも資源がなくなるスピードを緩める延命措置のようなものです。廃プラスチックの有効利用を進めるだけでは根本的な解決にはならないのです。
vol.3では地球温暖化の問題を取り上げます。
引用元:名古屋市プラスチック削減方針~そのプラスチックは必要ですか?~