法律の内容
令和3年6月2日に地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律が公布され、令和4年4月1日に施行されました。
この法律はそもそもどのようなものなのかご紹介します。
法律の制定経緯
地球温暖化対策推進法は平成10年、COP3での京都議定書の採択などを背景に、地球温暖化への対策を国・自治体・事業者・国民が一体となって取り組めるようにするため制定されました。
法律の内容
法律の目的
条文では、「大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること」が人類共通の課題であり、この重要な課題に取り組むために「地球温暖化対策計画の策定」や「温室効果ガスの排出の量の削減等」を促進するための措置を講ずることなどにより、「地球温暖化対策の推進」および「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保」などが目的とされています。また、2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念に掲げています。
※この法律での「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスにより、地球全体として地表などの温度が追加的に上昇する現象のことを言います。
具体的な制度内容
条文では様々な規定がありますが、ここでは主な制度をご紹介します。
地球温暖化対策計画の策定
地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、地球温暖化対策の基本的方向や温室効果ガスの削減目標などを定めた政府計画です。
地球温暖化対策推進本部
内閣総理大臣を本部長とし、地球温暖化対策の実施を図ります。
政府・地方公共団体実行計画
地球温暖化対策計画に即し、政府と地方公共団体は温室効果ガスの排出削減に関する計画を策定します。特に地方公共団体実行計画では、再エネ施設の整備等による脱炭素化をより促進させるための区域を定めることができます。
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度
一定以上の温室効果ガスを排出している事業者に、排出量などを算定させ政府に報告する
義務を課します。報告された排出量などは政府にて集計され、公表されます。
制定された当初は、政府における基本方針の策定、地方自治体における実行計画の策定などが主な制度の内容でしたが、京都議定書の締結やCOP16におけるカンクン合意などを背景に、地球温暖化対策本部の設置、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の制定など、合計7回の改正を経て現在の条文に至ります。
法改正の内容
地球温暖化対策推進法の一部改正法が、令和3年5月26日に成立しました。
今回の改正では大きく3つのポイントがあります。
下記は日本政府発表の内容です。
(1) 2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念に
我が国では、昨年の「2050年カーボンニュートラル」宣言やパリ協定に定める目標などを踏まえ、2050年までのカーボンニュートラルの実現を明記しました。これにより、国の政策の継続性が高まり、国民や自治体、事業者などはより確信を持って地球温暖化対策の取組を加速できるようになります。
(2) 地方創生につながる再エネ導入を促進
2050年までのカーボンニュートラルの実現には再生可能エネルギーの利用が不可欠です。一方で、再生可能エネルギー事業に対する地域トラブルが見られ、地域における合意形成が課題となっています。こうした課題を解決するため、地方自治体が策定する地方公共団体実行計画において、地域の脱炭素化や課題解決に貢献する事業の認定制度を創設し、関係法律の手続きのワンストップ化を可能とするなど、円滑な合意形成による再生可能エネルギーの利用促進を図ります。
(3) 企業の温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化
地球温暖化対策推進法では、一定以上の温室効果ガスを排出する事業者に対し、排出量を報告させ、国がとりまとめて公表する制度があります。本制度においてデジタル化を進めることにより、報告する側と使う側の双方の利便性向上を図ります。
また、開示請求を不要とし、オープンデータ化を進め、企業の脱炭素に向けた前向きな取組が評価されやすい環境を整備します。
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